角度ノート

駄文も積もればログ資産。かもね

もみじ食い。

 

学校には学食とは別にレストランスペースがあり、年に何回か予約を募りランチ提供を行う。
厨房はもちろん、案内やメニューの説明、会計まで全て昼間部の学生によるものだ。
授業の一環でもあることから原価割れするくらい力の入った料理となる。昼間の学生はほとんどがプロになる人たちなので、見栄えも味わいもあまり遜色がなく、もちろんパンも自家製。一般の人もOKなので毎回結構なにぎわいを見せる。
 
会社を中抜けして、初参加した。クラスの人4人で1卓につく。やはり噂にたがわず大変良いフレンチだった。

デザートの前に、西洋料理の先生が来られて、ちょうど食べごろの鹿肉があるから食べてみないかと仰る。他のテーブルに供するものではなくて、実習でお世話になっている私たちだけの試食実験で、そういうとき一も二もなく「いただきます」と真っ先に手を挙げるのが自分。
 
なんだか赤々とした生な薄切り肉が一皿どーんと置かれ、私たちはやや少し呆然とした。
 
撃って三日目の鹿であると言われた。撃ったのは夜間の製菓部を卒業された女性であるとのこと。撃つのがご趣味であるらしいのだ。皿はバラ肉と赤身の2種類に分けられており、表面だけを軽く焼き付けただけで、塩・胡椒とハーブで調味されただけのもの。パンチェッタのような漬け込み感はなく生ハムほどの塩味もない、なんていうか、3日目の刺身、というと非常に聞こえが悪いけれど、これが実は絶品だった。
 
癖がなくて脂も軽く、あっさりと柔らかなので、脂の白い部分も美味しい。一皿分もどうすんの、とはじめは戸惑った我々だが、完食した。
 
鹿肉のコツは撃ってすぐの解体が下手だと不味くなる、焼きすぎると癖が出る、とのこと。
以前鹿肉のカレーだとか、煮込みをいただいたときはそれはそれで大層美味だったが、やはり生がとても味わい深く生系はあまり得意ではない自分ですら美味しくいただいたので、機会があればぜひお試しください。
 
先生が薦めてくださる安心感も大いに有った。
生ジビエってことで気になる方は調べてみるのもよいかと思う。