角度ノート

駄文も積もればログ資産。かもね

なんだか受難続き。

 
お店は悪天候とオリンピック放送の影響で、お客様がなかなか入らない。それで7時頃に帰されてしまう。
仕込みは済んだので、まあいいんだけど。
 
先日は、一人目のお客様が来店した直後、店長が指を切った。ご注文の天せいろになかなか着手できない様子。本人は大丈夫というものの、血が止まらない様子。お客様をお待たせするのが申し訳なくてはらはらしたけれど、役立たずの自分が代わって天せいろをこしらえることもできず、なさけなかった。ペーパータオルでぐるぐる巻きにして、ガムテープも巻いて、上から厨房用のビニール手袋をはめて何とか営業したけれど、あっという間に赤い手袋みたいになっちゃって相当にグロだった。
 
縫うほどの怪我を三度もしたという経験上、これは縫うほどではないと店長は言う。おまけに「店をやるってのはこういうことですよ」とか言うので、私はこわくてこわくて走って逃げ帰りたい気持ちになった。
前の仕事のときだって発熱状態で朦朧としながら会社に行って、顔赤いよ、とか言われて、でも休んだりできなかったし、お店でだって指を切ったり火傷をしてもそのまま声も出さずに仕事を続行するけれど、それでは取り繕えないようなことがあって、私の代わりがいない時、一体どうしたらいいんだろう。
 
それでも思ったより早く出血は止まり、翌日には傷絆創膏ひとつで事足りていた。
今週末は寒ブリの会があるから、さしさわりがなくて良かったと思った。

寒ブリの会というのは、文字通り天然もののブリを仕入れて、さまざまな料理にし、それと何種類かの日本酒を楽しむ2月の恒例イベントで、結構人気があり、第三土曜日の定例日本酒イベントの翌週だというのに参加者が多く、満席近くなっている。
 
本日は鰤の発送確認のために店長が電話を入れると、海が時化て漁に出られないのだと言われたそうだ。
イベントの方はすでに参加会費を納入してくれている人もいる。明日まで待って、明日漁にでることができ、かつ鰤の水揚げがあれば、ぎりぎり前日の到着で間に合うのだけれど。悪天候の影響はひとごとではなかった。
そこのブリがだめならば別な地域のものを、と店長は考えているのかもしれないけれど、仮にあったとしても果たして流通の方はどうなのか。他の食材で代替するとしても、海の時化と、陸の悪天候と、それによる流通の寸断を考えると、代替することも難しいのではないだろうか。
 
自分ならどうするかを熱心に考えてみたけれど、私の意見などは全く求められていないので何も言わなかった。これは店長が決断することだ。店をやるってのはそういうことだ。
 
きっと試練は次から次からやってくる。店長受難のとき、私は、お客様が来ないから、天候が悪いから、と優しくされて無用の人になる。それはやっぱりいやだと思った。