角度ノート

駄文も積もればログ資産。かもね

山が燃える~♪

 

夜に出歩くのが好きではなくなった。お酒も飲めないので、旅先の夕食はたいていホテル持ち込みにする。駅弁とか、デパ地下のお弁当とか。コンビニのお弁当でも一向に構わない。

朝から出かけるとそういつまでも外で活躍するわけにも行かないので、食料調達をして早々とホテルにこもる。長い夜をどう過ごしているかというと、ひたすら本を読んでいる。だから部屋の照明が暗いホテルは本当につらい。

先日連泊したホテルもそうだった。デスクやベッドや入口の照明はあるのだけれど、いずれも薄暗くかつ部屋の天井に照明がついていなかった。
 
どうにも目がつらくて仕方がないので、テレビをつけてみた。消音にして本を読もうとしたのだけれど、たまたまNHKの歌番組がうつってしまい、何となくみてしまった。森進一と石川さゆりがそれぞれの持ち歌を交換し森進一が天城越えを歌った。歌詞が字幕ででるのでぼんやり眺めていたらすごかった。
 
ストーリーやイメージがあるから、歌詞は全部読むのがいいと思うけど、全部をのせるのも面倒なので端折るけれど、私もこのくらいのことをかつて言えば良かったのではないか、女と生まれた以上このくらいの覚悟で人を好きになりたかったなどと余計なことを考えた。

演歌の歌詞ってすごい。「恨んでも恨んでも躰うらはら」でいわゆる体はショージキみたいなことになって「戻れなくてももういいの」とそれはアウトロー的生き方であったり生きないことであったりを予想させて、情念が時間を止めるのだった。
自分のように、この戻れない生活の年間収支はどうなるとか、年金はどうなるとか具体的で即物的現実的なことしか考えない人間には、なかなか理解が及ばず、むしろそのせいで切り取られた絵画的なものに、美しさを感じるとまでは言えないけどそういう覚悟の片りんでもあればと思ってしまう。

一体いつのまにそういうメンタリティへの微かな共感を刷り込まれたんだろう。

それはともかく、ホテルの部屋が薄暗いのは嫌いです。