角度ノート

駄文も積もればログ資産。かもね

大浴場のまき。

 

M先生から電話が入ったと思ったら、懐かしい仕事絡みの人からも電話がはいったようだ。ようだ、というのは気づかなかったからだけど。
蕎麦店の店長がメールをくれて、紹介したいお客さんがいるというので、慌てて返信した。
  
店長は、すぐ行ってやれなかった自分も悪かったと言ってくれたし、関係は変わらないからいつでも顔を出してくれと言う。
けれどもう私は蕎麦店の厨房の中から客席を見ることはないだろう。文字通り立ち位置が変わって、厨房を通した蕎麦店との関係は、完全に終わったことを知った。 
 
蕎麦店で正味半年間を無給で働いた事実については、店長個人に対してではなくて、業界や、仕事自体の特殊性や不条理だとかをぐるぐる考えていたけれど、それは私だけではなくて、店長もまた考えていたのかもしれないと気が付いた。
どうしようもなく釈然としない関係性の意味付けや違和感の言い訳に厚意ももちろん混じって、関係性の天秤ばかりのようなものをお互いに抱いていたかもしれないと気が付いた。
 
あの、途中で介入して申し訳ないですが、自分で自分に介入してるわけだけど、途中ですが、全く関係ないですが、ネギ焼きってなんですか?
ネギのお好み焼きですか? お好み焼きというのも外で食べたことがないので正確には分かりません。
 
さておき。

お前は鼻持ちならない女だったから今回の挫折は丁度よかったんじゃないか。
と酔っぱらった元シャチョーが言ったけど、そういうのは別に悪口でもなんでもないので、はいはいと言っておいた。人がどう感じるかはその人の内面を反映するから、どっちでもいいや。加えて、意外におっぱいがあるから押し倒したい欲情にかられた、とか言うので、面倒くさいから、おやおやそれは大浴場でしたねと言っておいた。
 
それはいいんだけど、もひとり、閉店したと報告した翌日に「料理、とくに日本料理に一番大切なものが欠けていました」と書いてきた人がいた。一番大切なものとは何なのか是非教えていただきたいものだ。自分が答えと思うものを握っていて、ほのめかすことで優位に立とうとするようなのは悪質だ。思うことがあればそのままストレートに言えばいい。こういうことを書いて寄越す意図がさっぱり分からない。誰かの何かの役に立つのか。
万一、私の為を思ったり、私に猛省を促すつもりで書いているのなら、それは私が次期開店のためにアドバイスを乞うときにこそ言えばいいのであって、少なくとも今言うことではないだろうと感じた。私が一体、傷ついてないとでも思っているのか。
 
私は反省も後悔もあまりしていないと書いた。どのみち人に見せるエクスキューズだ。ポーズだけだ。
ただ私は少しずれたところにいる。ちょっとずれた悲しみよりのところにひっそり立っている。人に見せるようなものではない。