角度ノート

駄文も積もればログ資産。かもね

さて。私のターン

 

さても夏の日。
満を持して入ったラブホで、グラッパか何かで酔ってどうにも駄目な私に「泊まれるか」と彼は聞き、「泊まれない」と私は答え、それきりそんな成り行きにはならなかった。ずいぶん年下の人だった。

こどものときから母の過干渉を受けて育った。
帰らなかったら、どんなに大騒ぎされるか想像がついたので、泊まることはできなかった。


それも夏の日。
ミッドナイトブルーに白いピンドットのワンピースを着ていくと、目を細めて喜んだ上司に飲まされた帰り道、強引に唇を奪われたので、私はタクシーを拾って、強引に彼一人を車に押し込んだ。


こんなふうに書くと、いい女を想定しがちだが、大方の結婚詐欺の女が美人ではないように、私も全然どうでもない。としをとったのでなおさらだ。


妙な癖がついていて、自分の役回りを影だと思っている。

私にはまともな恋愛経験が極めて少ない。

なぜなら私が若い時、言い寄ってくる相手は中年妻帯者であったし、相手が若い時、私には夫がいたからだ。

だから自分はエラそうなことを言えない。何か新しい関係の成就を願ったりできない。
薄汚さには敏感だ。自分がそうなので、人の気持の汚らしさが良く分かる。

ひとの人生をぶち壊しておいて、自分が幸せになろうとしてはいけない。どれだけ希求しても、それを許さない自分がいて、すごい力で負の方向に捻じ曲げることがあるようだ。良く考えると、ひっくり返しているのはいつも自分なので、以心も伝心も魚の心もまるで嘘だけれど、因果に対する報は、負の面ではきっちりあるものだと思う。