それは女ではない。シャンプーだ。
気が遠くなるくらいの痛みってのは、どこと指し示すことができなくて疼く。
だから、シャンプーのにおいの女が好きだなんていう男は女の味わいを知らないお子様なのかと思う。
それは、女ではなく、シャンプーのにおいだ。
シャンプー女とすれ違うときは、私はひそかに息を止める
というような憎まれ口にもすっかり哀愁漂う十一月。
そういえば、メールの最後を必ず「よろしく 哀愁」で終わるお客様がいるが
ああもう うるさいですから。
さて、
家のような車が、右折してきて、停まる。
装甲車のようだと思いつつ乗ると、ゲレンデなんとか、だと言う。
先日決算を組み終え、税金をおさめた。
再来年には今期分の消費税を支払う。
その時まで自分が堪えられるかどうかは全く見当がつかないが。
社会保険料倒産というのもあると聞いた。頷きまくった。
一方、M2のバイト4号君は、奨学金借金が600万にものぼると言う。
この子はDに進んで研究職につく予定らしいが、あらかじめ借金を背負った新入社員候補に、事態は何度目かの氷河期様相を呈しているようだ。
こないだ倒れた友人は麻痺して回らない口で「リハビリは厳しいんだよ」と言った。
奥様はパートをかけもち、末の息子は来春受験だ。
「なんとか、なりますよ」。なんともならない私が言うのは、説得力がないけど。
ゲレンデなんとかの人は、「悩みなんか何一つねぇ」と彼は言った。今やってるゲームの攻略以外は。
私もまた、悩みなんかない。なりゆくままに生きているんだ。
なんという、大きな共通点だろう。
愛欲生活をおくりたいんだが。
とか、また妄想する。
ゲレンデなんとかは「でわ、とびおります。」と挨拶して降りるのでカッコよくヒラリと降りることができない。
だけどほんとは飛び降りるのは私ではなくて私に飛び降りていただきたいものだと切に懇願する。
携帯電話を抱いて妄想と幻聴の日々を眠ろう。