角度ノート

駄文も積もればログ資産。かもね

お湯につかってやわらかくなる。

 

2021年の3月に息子たちが転出し、その少し前の2月末に私は仕事を辞めている。後追いをするつもりであるという理由のもとに。しかしコロナが拡大しはじめ、私は予約を取り消して、下見に行くこともなく自粛態勢に入ったのだった。仕事がなくなったものだからその頃に市内の温浴施設に行き、それきり今日まで「禁温泉」の日々だった。長かった。

風が強く空の暗い寒い日だったので、温まりたいと朝に思い立った。いつも行くのは多分コミック数が一番多いと思われる絢ほのか。調べてみると送迎バスを終了した施設が数か所あり、2番目に良く通ったところも送迎を終了しており、選択肢は狭まった。

いいお湯につかって伸び伸びし、40度の岩盤浴で少しうとうとし、食事のあとは休憩室でぬくぬくしながら本を読む。といってもコミックは何を読んだらいいのかすでに分からなくなっているし、全シリーズが並んでいるにもかかわらず途中で帰らなきゃならないので、今日は文庫本を持ち込んだ。

もう何時間でも、昼寝を挟んで夕方まででも居ようという意欲はあったのだけれど何となくそこそこの時間になると気が引けてしまい暖かくゆるゆるになった身体のまま帰りのバスに乗る。
平日なので空いていて人の話し声も聞こえず穏やかな時間が過ごせた。

夕方から、来月買う本のリストを作っていたら、「私、誰の人生もうらやましくないわ。」というコピー集のタイトルにとても惹かれ、そういうことなんだなと日帰り温泉帰りの私はてのひらもあたたかかった。