角度ノート

駄文も積もればログ資産。かもね

アルテピアッツァ美唄 

 

8時前にスタートし、ガソリンを満タンにした。R12を北進し2時間くらいでアルテピアッツァ美唄に到着。民家の脇からなんとなく森の公園がはじまったと思っていたら、正面ではない方からアプローチしたようだ。 
 
意外なところに小道があって、渓谷を見下ろすように張りだしたスペースからせせらぎを覗き込んでいると、そばでかさかさと音がしはじめた。エゾリスだ。何だかとても素敵な食餌を咥えて私を見に来たのだった。ここにも大きな、椅子になるオブジェが置いてある。 ササやぶの中に唐突に作品がある。
 
道がついているので、進もうとすると、「つい先月、近くで熊が確認された、ここから先は自己責任で。」と貼り紙がある。入るんなら鈴を持ってって、と紐のついた鈴が置かれていた。熊の話というのは、まるで実感が伴わないけれど、絶滅したわけではないから、あちこちの山に熊の日常があって、私たちの暮らしと並行しているんだろう。エゾシカの日常もそうだ。よりそわない暮らしだ。遭遇すべきではない関係というものがあるんだと思う。 
 
彫刻作品は、野外だけではなく廃校になった小学校の校舎の中、体育館の中にもある。校舎の階下は幼稚園になっていて、こちらは現役幼稚園児30数名が活躍中とのこと。木造の古さが良い建物だ。
市内でも人気の幼稚園となっているそうだが、送迎は大変かもしれない。 

北海道特有の、何でもありの繚乱状態はここにも見られ、桜は枝垂れるわ、水仙は咲く、丘はたんぽぽで埋まるという具合。
穴のあいた彫刻をくぐったり、撫でたりする。コンクリートの台座の上の作品に、5月にしては強い日差しが当たって、影が濃い。大理石は日差しの下で冷たかった。 それからたんぽぽの丘をのぼる。と、意表を衝かれる。全方位があおになる。 
 
カフェアルテで珈琲をいただく。大きな薪ストーブと、裏庭には薪の貯蔵があったから、冬は薪のはぜる音が聞けるんだろう。窓際のテーブルは椅子がゆったり七つ並ぶ一枚板だ。
うぐいすが鳴いた。せせらぎの音が聞こえた。虫の音がしきりだ。私は七番目の椅子に腰かけている。一番目から六番目までは無人であって、ただ大きな木をおもう。 

私は私の領分で熱を孕んだ。影は影なりで良いと思っていた。