角度ノート

駄文も積もればログ資産。かもね

王国のわたくし。

 

至近距離でもあることを外しても、やはりあのカフェが好きなので、本日の炎天下を歩いていった。何度か書いたいわゆる知的障害者の支援を目的としたNPO法人が運営する店。いつもなかなか混んでいて、好きな席はあいていなかったから、近くの人の話が聞こえるテーブルについた。
 
スタッフ女性に、誰かが尋ねた内容は分からないけれど、それに答えて彼女は「私たちは軽度の障害者だけれど、そちらの施設のほうは少し障害が重いのだ」という説明だった。何のためらいもなく、普通にさらりと答えたので、結構感動した。
何度も書くけれど、店のスタッフと客という役割関係の中では全く何の遜色もないのだ。丁寧ではっきりとした話をするので私は好きだ。
 
ウィキペディアを少し読むと、高額な契約などの日常的でない判断が難しく、悪意の接触にだまされることがあると書いてあった。その店もレジ担当はNPO法人のスタッフだけが担当している。オープンしてから結構経つと思うけれど、おそらくほとんど脱落者がいないようで、同じ顔ぶれがそろっているのも私の安心感につながっているのかもしれない。
 
どうしても違いを見つける、というならきっと子供っぽい感じの真面目さなのだと思うけれど、仕事をする上で融通のききにくい真面目さは全く責められるようなことではないし、騙されやすいといったってそれは騙す方が悪いに決まってる。
 
そうすると私なんかの方がよほど人として、いかがなものかと思われて仕方がない。「定職にもつかず」「気に入らなければすぐに辞めてしまう」のは性質が悪いのではなかろうか。
人にはそれぞれ考え方や行動規範があるのだから、ひとさまの会社にいて、そのやり方が気に食わないと言うのであれば、私のような人間は、独り、自分の王国をつくらなくてはならないだろう。 
何か儚い私の王国(笑)。そういえば機内誌にそんなタイトルのがあった。あああ旅がしたい。
 
 
 
前に、やきゅうさんの話を書いたけれど、この人はライターの仕事を細々続けていたとはいえ、一男一女の母であり、どっぷりと主婦生活に漬かっている年数が長かった。縁あってギャラ社にくる前は、コンビニの仕事を探そうとしていたのだと言った。
そしてギャラ社の彼女について愚痴るとき、今までさんざん仕事をしてきたのだから、この年齢になって今さら何かスキルアップをしたいとか、新しいことを始めたいとかは考えていないし、なにより、新人・素人のように小言を言われたり、人間関係に気をつかったりするような仕事は嫌だと言ったので、部分的に同意した。
 
コンビニが簡単な仕事かどうかは分からないけれど、少なくともそういう気持ちはものすごくよくわかったし、自分自身にしても、見栄えが良かったり、聞こえが良かったりする仕事ではなくて、軽労働を伴うようなパートタイム仕事を探そうかと考えたりするのだから。
 
でも同意した後で、良く考えたら、そういう気持ちこそが年配者が疎まれる原因ではないのかと思った。「これまでの経歴がある自分」に指図をするなとか、またもや人間関係でストレスがかかるのはたくさんとか、新しいことに興味がないとか。
  
私が数ヶ月前にギャラ社でなくて、そば店の方がいいと書いたのはまさにそういう、身体の疲れよりも気持ちの疲れの方が嫌、という意味だったと思う。
  
  
 
そのカフェに行く前に、遠くのスーパーでプラムを買ったのでジャムにした。大変良い香りが部屋中に広がった。先日作った、ぐすべり(gooseberry) のジャムも非常に良かったので、タンカンのママレードに始まり、この3種類は毎年のルーチンにしようと思う。ジャムおばさん、とか言わない言わない。
今年初めて着手した梅干も土用干しを終えた。おいしく漬かったら来年は2キロくらいをやってみよう。

無節操に近い暢気さは、きっと、きっと、私をだめにはしないんだろう。