角度ノート

駄文も積もればログ資産。かもね

春の降格。

 

強要されるのは絶対にご免だけれど、カイシャに出向く日は早くでて、ギャラリーの掃除をしている。小さな規模のカイシャであれば、掃除は社長の役目だろうと私は考えているけれど。
 
今かかっている展示は今週末の最終日を前に、作家の奥様とお嬢様が来訪された。
 
その前日、Cさんに当日外せない案件があり、夕刻の奥様来訪予定時に食い込みそうだから接客をどうしようという話になった。本来であればギャラリー事務所にいるのだから、しゅふさんの担当だ。男性スタッフはその日、休みにあたっている。
 
ところがそれではどうしても気に食わない、そぐわしくないと彼女は言い、「あぁギャラリイ」というようなイレギュラースタッフがいるのだけれど、その人とは連絡がとれず、上階のショップのスタッフNさんとしゅふさんを交代させ、Nさんと私とで対応してくれという話になった。
 
しゅふさんは奥様たちが来訪なさることを知っているけれど、このフォーメーションプランは知らない。
 
当日、掃除機をかけていると、Cさんが出社してきて、連絡のつかなかったスタッフと話がついたからその人に任せることにしたと、あっけらかんと私に告げた。私は面倒がなくて良かったと一安心した。
 
しゅふさんが出社してきた。彼女はとても素敵なジャケットを着ていて、普段より気合が入っているのだった。その気持ちを思うとすっかり可哀そうになってしまった。どのみち、しゅふさんが応接するシーンは与えられなかったのだから。そういう時の正解はどうなのか、私は経営者ではないから分からないけれど。
 
私は午前中で帰宅したため、お客さまにはお目にかかっていない。もともと自宅でする仕事があったのだけれど、応接してくれというので出社しただけなので。
 
どうにも、しゅふさんの仕事ぶりを気に入らないらしく、お引き取り願う方針に決めたようだ。毎日愚痴をこぼすくらいなら、早い段階で切った方がいいと言ったのは私だ。愚痴を聞くのはうるさくて嫌だった。1年間だけの産休代替要員に仕事を教えたくはないそうだし、即戦力を求めているから、仕事を教えて給料を払うのは嫌だと彼女は言う。
1年間という都合の良い期間だけ来てくれる即戦力なんかいないと私は思う。いたとしたらそれは有難く、やや高給で迎えるのが通例ではないかと思う。
 
私は自分の会社ではないので、どうでもいいやと思っている。しゅふさんには少なくとも人を駒のように動かしたりしない、もっと幸福な職場があるはずだ。