角度ノート

駄文も積もればログ資産。かもね

雨降りだから長い駄文を。

 

雪解けを待って、4月の第1週に私はK社長の紹介で、不動産屋さんを訪れたのだけれど、全く仕事をしてくれなかった。もう何か月も前から市場にでていて借り手がつかない物件資料を2度送ってくれたっきり。私がネットで見つけた物件を、これはどうでしょと聞くと、そこは今営業中のおでん屋だから飲みにいってみなきゃわからない、二人で行こう、ワリカンなら付き合う、とか言われ、私はそれきり連絡を絶った。

ここまでで5月の連休が済んだ。
ひとのことを年寄り呼ばわりすると、いつか自分の身に返ってくると思うけれど、年寄りを嫌だと思うのはこんな時だ。それは年齢のせいではなくて、そういう性質なのかもしれないけれど、口ばっかりで、肩書だけで、能書きをたれて、仕事をしない人間は迷惑だ。私は任せなさいという不動産屋さんに任せようとして他になんらの手をうたなかったから、自分のせいで無駄な時間を費やしたとも言える。
 
次。
再びネットで検索を繰り返し、ある不動産屋さんに電話をする。現地集合で2件、ちょうど隣り合うビルだったので2件をその日に見せていただき、自分が苛酷な条件をだしているのは知っていたけれど、それにしても腰が抜けそうに汚い部屋を見せられて、これはちょっと。と私は丁寧に言った。で、希望エリアと希望金額を少し拡大するから引き続きお願いしますと挨拶して、解散した。
その後この不動産屋さんの担当からは全く何の連絡もこないので、その後物件情報はありませんかと、メールをすると、返信もなく。
 
この時は結構落ち込んだ。不動産屋さんに嫌われる顧客というのに自分があてはまるのではないかと、自分の言動を細かく厳しく振り返ったけれど、どう考えても私に不備はないと思われた。
 
不動産屋さんのサイトはいろいろあって、気になる物件があったらお問い合わせを、とか書いてあるので、「資料が欲しい」とか「詳しく知りたい」とかにチェックをいれてメールをしていたけれど、私はこの業界が分かった気がする。戻ってくるのは自動返信だけで、あとは無しの礫だ。まず絶対に連絡はこないと知った。
でも具体的にお目にかかった彼には一体何が起きたのだろう。そんなに私の条件はありえなかっただろうか。それならそう言えばいいものを。
  
5月からは物件を探したいという理由で蕎麦店に通ってないこともあり、以降、歩くことにした。
どこに行くというあてもなくうろつき回るのは少し「世間体」が悪い気がした。あちこち歩いて毎日疲労困憊して翌朝も早起きできないくらいだった。まあ大袈裟なんだけど。
 
朝から晩まで歩いていたわけではないので、このかん、部屋を整理したときの残余物を処分すべく、ネットのメールフォームなどで照会していた。
1社からは24時間以内に連絡するという自動返信がきた。しかし72時間をすぎても連絡はこなかった。
知人の便利屋さんにメールしても、いつもならそっこーで電話をくれるはずがこない。これは自分がPCからメールしたせいで、彼の携帯はPCメールをはじく設定なのに後から気が付いたけれど。
 
しかし、この「来ない」体験が上にあげた不動産屋さんらからずっと続いていて、私は、自分が途方もなくおかしい人間で、誰からも相手にされなくなっているのではないかと半ば本気で考えた。ちょっと顔つきも少しすさんだ気がした。自分の性格では、こういうのが一番堪える。電話すればいいだけなんだけど。
  
日々、だるく歩いていて、思いがけないところにアキ物件を見つけた。どの会社のサイトにも未だ掲載されていず、歩いた人だけが目にするという物件だった。電話を入れるとまったなしで、では本日、と言われ大雨の中を見せてもらいに伺った。
 
で、仕事はこうじゃなきゃと感じた。
 
もちろん私は居抜きを探していたのだけれど、しかしそこは事情があってスケルトンだった。スケルトンというのはハコだけがあって造作していない物件だ。つまり私が何かをしようとすれば大体は自分の希望通りになる、ただし費用負担は全く異なる。
自分の希望、というほどの希望はなくて、既存の店舗を見ては、なんて良い場所、良いたたずまいと憧れていたけれど、それはすなわち、ひとの夫を思う気持ちとおんなじだ。自分をあさましいと思った。
 
計算やリサーチはとても大事だけれど、その場で仕事をしている自分を想起できることも重要だと思ったし、その物件を逃したら本当に後悔するだろうと考えた。私がこのあと何もかもうまくいくという話ではなくて、仮にだめになったとしても、触れもしないのは後悔するだろうと考えた。店の話だけど。
 
で、そこに決めそうだ。決めなければ後悔する。だって、自宅からとても近いんだもの。