角度ノート

駄文も積もればログ資産。かもね

雨ずらよ。

 
昨日は、夕方近くになってK社長の事務所に行く。
話のついでに、例の、想定外の結末になった仕事の話をお伝えすると、「それは先方確認をしてないのだろう、不誠実だ」と言い切ってくれたので、少し気が晴れた。けれど、一旦口に出してしまうと、本当は私は悪口をたくさん言いたかったんだろうと気が付いた。
 
惨めったらしい気分になって、帰り道はどんよりした。
スーパーによったのに、また昆布を買い忘れてしまう。先日買ったのは、近くの店の間に合わせの上等品の少量パックだ。そういえば、昆布店の人が「こんぶちゃん」と言った。私は食品に「ちゃん」や「さん」をつけられるのに違和感がある。飴ちゃんとか、おいもさんとか、なかなか辛い。それから「炊いたん」というのは一体なんなんですか? 

地元の人がその地で言いならわす分には全く問題はないけれど、デフォルトとかスタンダードとでもいうように「大根とお揚げの炊いたん」「茄子の炊いたん」、とかあちこちに露出されると本当に困惑する。煮物ならだめなんだろうか、炊き合わせで良くないか。もうずうっと前から嫌いでたまらなかったけど、そういうことを言うのは何か差別的なことなのかもしれないと思って黙っていた。おそらく、自分の知る限りのドーミンはそういう言い方が、まるで上等な言い回しであるかのごとくに跋扈することを嫌っていると思う。あ、聞いたわけじゃないので、料簡の狭い私ひとりだけが嫌がってるのかもしれませんが。
「ケールの炊いたん」っていうのがあって、これは爆笑した。ちゃっきり節が斜め上の方にちらついた。
 
気を取り直してと。
たくさん餃子を作って焼いた。焼き立てをつぎつぎつぎつぎと口に運んだけれど、独り餃子というのは、寂しい。焼き目がカリッとおいしいけれど、寂しい。二つ目も三つ目も四つ目も五つ目も寂しい。私は辛子酢醤油で食べるけれど、ちょっと酸っぱくて六つ目も寂しい。
不安に押しつぶされそうだと言ってる割には押しつぶされる気配なく、食欲はあり、良く眠れもする。
私は人生を舐めているんじゃないかと思う。というより、あなたが舐めた私の人生のちょっと酸っぱいにおいだけ残して甘味も塩味も遠のいた抜け殻式無味の明るさだろうか吹雪の夜の白さだろうか。あなたはわたしを、あなたはわたしを夜と比べて朝と並べてあなたは私を夢で抱いたん?