角度ノート

駄文も積もればログ資産。かもね

帰ってきますとも。

 

話の流れで「旅行から帰ったら」と話すと、「え 帰ってくるの?」と愚息が言う。
なーんにも気にされてない感がありありだ。

もう少し日程をとればよかったと、毎回思う。ひとつきとか、半年とか。そうなると旅行ではなく、放浪になるかもしれないけど放浪するほどの自由はまだないということだ。 
母が生きていたなら、こんな時期に遊んで歩くなんて、母は必ずそういう言い方をしたけれど、遊んで歩くなんて、何を考えているんだ、と青ざめるくらい怒っただろうと思う。
 
私は叱ってくれる人がいなくなったからといって、だらしない生活をしているわけでもないし、不真面目なことをしでかしてもいない。私は、学校生活を即効で忘れようとしているだけなのだ。
 
夜間に活動する習慣ができてしまい、卒業後、すっかり穴の開いたようなどうしていいか分からない気持ちになって夜になると何となく外に出てしまうような人もいると聞いた。食事時間もばらついて乱れた。
自分の場合は、学校というくくりの中でモラトリアムじゃないけど、学校生活が扇の要のような役目をはたしていたから、それがなくなるとおかしな言い方だけれど仕事でもしていなければ間が持たず心の底から途方に暮れる生活が待っているわけだ。
 
だから一刻も早く、この時間になったら包丁を揃えたり実習着をたたんだりして学校のロビーあたりにいつも友達がいて…なんていう楽しげなことを毎日思い出したりするのは私を駄目にすると思うので、忘れた方がいいと考えた。
 
この先数か月か1年くらいが私の山場だ。ほとんど制約のない日常生活をどうメイキングしてプロに近づけるのか、どう毎日を気高く(笑)過ごせるか、こんなに自分を律することが必要な環境ってそんなにないんじゃないかと思う。駄目になるのはものすごく簡単なことだ。気持ちか身体かどちらかが壊れたらそれでおしまいだ。そんなに力んじゃいけないとも思うけど。
 
 
 

かすみちゃん、というのは、ひとつきくらい前に日記に登場して、私の校外実習に「楽しみですね」と言ってくれた人だけれど、先日「卒業したらどうするの」と聞いてみた。英会話でもならおうかなと言うので、正直、若い子にありがちな感じでの言葉なのかなと思ったら違った。
彼女は今、ホテルの厨房にいるけれど、前職のスーパーマーケット惣菜部の職歴が長く、クラスの中でも実力上位の人。
お客様のテーブルの前にワゴンを出して目の前で調理する機会があり、その時に外国のお客様に、簡単な英語で説明したり、質問に答えたりできると良いと思うから、と彼女は言ったのだ。これにはちょっと感動した。本当に賢い子だなあと思った。
 
こういう人がいる、ということ自体が私の支えになる。2度助けられた気がした。