北海道なんか、もう、日本って感じがしない。とネットにあって、何故か分からなかったけれど、先日うららかな神戸を発って新千歳に着くと吹雪だったので、ああ外国のようだと思ったから、やはり当地はもう日本じゃなくなってるのかもしれない。
それでも日差しが強くなるとヒヨドリはぴったりと来なくなった。
まだ3月の雪の朝、私はカラスに覗かれたのだった。朝が暗いからというわけでもなかったし、何がどうだったのか良く覚えてはいないけれど、新陳代謝する私は、テーブルに肘をついて泣いていた。よくわかんないけど、そういう気持ちの時に我慢するのはとても体に良くないと思うので、いわばヘルシーに泣いていた。何か気配に目を上げるとベランダの高みにとまって部屋をのぞきこんでいたカラスと目があって、わあ、と思った。恥ずかしかった。
それで、剥いた胡桃を、ベランダに3つ置くと、3つ咥えて飛んでいって、文字通りの口止めなのだった。カラスも最近ベランダに来ない。
私は鳥が好きだ。飛べるところが好きだ。人間は半端で何もできやしない。言葉すらきちんと伝えられない。
と、ひたっていると、お客さんが打ち合わせにきて、電話でも済むのにと、思う。
1月・2月の仕事のときは、電話やメールではだめだったので、頻繁においでいただいた。というのも、頻繁でかつそんなに長くもない打合せにわざわざ近隣の喫茶店等に出向くのは不本意だったし、なにしろ一応事務所なので、拒む理由もないからだ。
かれこれ30年近くにもなる仕事関係者ではあるけれど、仕事関係者との仕事以外での接触というものを私は激しく嫌うのであって、だからいかに頻繁な面談があろうと一向に心なびくことはないのだが、先様は頻度が親密度とシンクロする性分なのかどうか知らないけど、飲みに行こうと言うので、ごまかした。本日は夕刻に電話を寄越し、これから打ち合わせに行ってもいいかというので断った。それも電話で済むだろうと思った。
何一つ自慢を書いているわけではなくて、私は心から憂鬱になる。
私が何か隙を見せでもしたのか、物欲しげな顔でもしているか。私は浮気や不倫の常習者ではない。
そーいえば、今思い出したけど、前の居住地で自宅事務所だったとき、仕事周りの人と話していて、「今、ちょっと不純なことを考えてる」と言われて、何のことだかさっぱり分からなくて、ぼーっとしていて、あとから、えっ、と気が付いてうんざりした。
ああ、こんな時は「し」が忍び寄る。登場させるつもりがなかった「し」の登場だ。
「ふざけるなし」。