角度ノート

駄文も積もればログ資産。かもね

3D


東京は、南池袋にも出店があるようだけれど、そこそこ老舗のステーキハウスが札幌にあって、前に一度ハンバーグを食べて、ああ美味し。と思ったことがある。
 
先日、友人の便利屋さんと話をしていて、その店の話が出た。贔屓にしている店だという。
 
彼が本店でハンバーグを食べたときのこと。まず、大盛りご飯を2皿注文し、1皿分のご飯をデミグラスソースにぶち込んで(彼がそう言った)、わしわしと食べてたそうだ。
 
厨房から店主がずっとその様子を見ていて、ついに厨房から出てきたので、行儀の悪さを叱られるのかと思ったら、「俺はそういう食い方をする奴が大好きだ」と喜んだということだ。
 
肉ならば、どこの店だってそんなに遜色ない良い肉を使うから、店のこだわりはソース、ソースに手間暇をかけているのだという。
 
友人は引っ越しも扱うが、その業界で仕事ができるというのは3Dを持てるかどうかであると前に聞いたことがある。3Dというのはスリードアだ。スリードアの冷蔵庫を独りで運べるかどうかなんだという。バイトで来たアメフト部の大学生は彼よりも30センチ近くも大きかったのだろうと思うが、全く運べなかったそうだ。もちろん友人はそれができる。
 
だからその店に入ったのは、3D系を盛大に取り回した後ではないかと考えると、可笑しくなった。気持が良いほどがつがつ食べたんだと思う。
 
作る側の喜びと感動も、食する側の喜びと感動も、マナーとは全く別の次元だ。
 
そう思うと、食事のマナーというのは、むしろ、あまりいただけない料理に対して、不味かったということを気付かせない、つまり個人の思いを覆い隠す作法のような気がしてきた。