角度ノート

駄文も積もればログ資産。かもね

1択2日。

 

ときどきアンケートの集計・分析を任されることがある。達成感があるので、好きな仕事のひとつだし、経験年数も比較的長いので、単純なものなら赤子の手をひねる感があるが、かなり以前に会社のブログでも書いた記憶があるけれど、設問こそがアンケートの神髄だ。
しかし、納得できる設問にはなかなかお目にかかることがない。

先日も規模の大きな調査があったようで、お客さま社で作成した設問用紙を眺めていたが、学校種別で分けたのは良いけれど、大学と大学院を別コードにしてあったりするのは、サンプル数が他に比してかなり少ないから、集計時点で合算されるはずだ。だったら最初からコード分けをしない方が入力の手間も省けると思った。

学校を聞いておいて、というか学校をピックアップして調査票を配布したのだと思うが、それなら年齢は必要ないのではないか。聞きたくなる気持ちは分かるけれど、30歳以上の高校生というのは極めて少ない人数だと考えられるから集計上の着眼点としては価値が乏しいのではないか。

また「その他」項目はみだりに設けるべきではないと思う。「その他」は少数なのだから、切り落としてしまって、集計範囲に入れないことだってある。無駄ではないか。仮に「その他」が他項目と同じくらいの大きな数字になるのなら、それは設問作成の不備だ。
「無回答」が多くなるという場合も、多くの場合、設問が悪いのだ。

分岐していく方式の、多重質問というらしいが、それもやりすぎの場合が多くて、回答者は途中で飽きる。サンプル数もどんどん少なくなって、さびしくなる。

こんなのがあった。内容は変えているけれど、「Aシステムを利用しているかどうか」の設問に対し、利用している・したことがある・したことがないの3つの選択肢を設け、「している・したことがある」人が次の設問に進み、「購入経験があるかどうか」でまず、有無を聞いた。それから「ある」と答えた人に「何を買いましたか」と続く。冗長だ。長い旅だ。
案の定、不備なく回答している人は多くはなかった。

複雑であることに自己満足をしてはいけないのだと思う。

調査票はできあがったら、できればプレテストをするのが良いとは思うけれど、時間も経費もかけられないのなら、同僚の2、3名とかでいいからテストさせていただくといいと思う。それさえできないなら、せめて自分で、回答してみるといい。

文字通り「答えに詰まる」設問というのは多々ある。単純なところではプロフィールに未婚・既婚を選ぶシーンがあるけれど、自分のようなものは困る。どうお返事してよいか、ためらう。
未婚とは、既婚とは、と定義付けなんかを書くのも面倒だから、離別・死別の選択肢があればそれで済むし、最近はそういう設問が増えたけれど、それでもまだ未婚・既婚しかない質問をされる場合がある。
ネット上で、アンケート調査をされることが良くあるけれど、本当に答えられない設問があったりすると、途中でやめてしまう。答えようがないので止めざるを得ないのだ。

つい先日も、ひょんな(←ここ大事)ことから、不倫のアンケートを見た。現在進行中の人に、例えば「100の質問」みたいなアレだ。自由回答形式のアンケートだ。

読むと、最初は熱心に答えていたのが、配偶者についての設問がまずくて、途中から切れそうになっていた。その回答者は離別しているために配偶者がいない、にもかかわらず配偶者についての質問が延々と続いたからだ。こんなのも、設問の不備といえるんだろう。

設問のどこかで無駄から逃がしてやる工夫が必要だったと思う。不倫については分からない。嫌いな言葉だし、ひとの事情をそういう言葉で括るのはどうかと思うけど。

 

せっかくなので、逆にそういう集計・分析業務を受託する側のサイトを見て回っていたが、「サンプル数を増やすのに、景品をつけると回答者は景品目当てなので、たしかに回収数は増えるが、回答内容の質が非常に低くなる」と書いてあるサイトがあって、非常に驚いた。人を舐めてはいけない。

それは謝礼だ。ひとさまのご意見をうかがわせていただき、実施側の運営や施策の方向づけに貢献をしていただくのだから、謝礼だ。お時間を割いていただくことへの謝礼だ。もいちど書くけど、それは謝礼だ。仮に、小さな景品のようなものをがつがつ欲しがる人がいたところで、それを責める理由なんか誰にもない。
こんなもんを欲しがるのか、という「こんなもん」の経費は誰がだしているのだ。集計の会社じゃないだろう。

えらそうに書いたけど、前に一度これでどうだというような設問と、吟味して作成した回答用紙で、アンケート調査をしたことがあるけど、それでもやっぱり、こちらの意図とは違う回答の仕方をなさる方がいて、ちょっとショックだった。そしてあんまり、力みすぎたんで、集計も面倒だった。
自分、青かった。