「あのときの王子くん」というのは、「星の王子さま」の新訳。この本は中学生の時に読んだ。バラの花のくだりを自分にしてはよく覚えているのは、今思うと、名訳のリズムのせいだったのかと思う。
どのシーンだったか、きつねか蛇の場面だったと思うけれど「剣呑」という言葉をそこで初めて知った。
この新訳は、自分が馴染んだ内藤濯の訳書とは大きく趣を異にしている。多分。
たぶん、というのは、全文を読み返したわけではないからだ。そのまんまXHTMLで読むと、ひらがなばかりなのと、フォントのひらがなが、なんというか「めいっぱいフォント」のために、胃が痛くなるような感じで非常に読みづらかったためだ。
専用ソフトで読むといいようだ。
iPhoneではあとがきを先に読んでしまったが、大層読みやすく、まるで本を読んでいるような気になった。
さて、そのあとがき。これが秀逸だった。まるで言い訳のごとく、緻密に書かれている。誉めているんだけど。
せっかくのあとがきであった。
自分が中学生の時に読んだ感覚では、こどもの本ではないと思ったので。だからこそ、バラの花のくだりを覚えていて、普遍的であるんだなあという実感を得ているんだし。厨房の時からほとんど変化していないんだ、という呆れ方もある。
あとがき、よろしければご一読を。