角度ノート

駄文も積もればログ資産。かもね

ベンツの思い出

 

帰り際が強い雨だったので、「俺のベンツで送るよ」と言われ、客先社長に乗せてもらう。
「わたしはベンツも何も分からない」と言うと「んだろーなー」とおっしゃる。
この社長は、とても大きな人で肩幅なんかも大層広く、強持てであって、喋り口調もそれっぽくて、どこから見てもあっち系に見える。黒塗りだし。

けれど社長だらけの会合時などは率先してお茶を淹れて自ら配ったりなさる非常に細やかで優しい、尊敬できる社長だ。

車内のふかふか感に、少し気持ちが悪くなって、つくづく貧乏ったらしい女だと実感。
別件お客様はボルボをお持ちで、これにはもう何度も乗せていただいているけど、気持ちが悪くなったことはないので、気持ちが悪くなるほうがベンツだ。という認識もいかがなものか。

私にとって車は当初の目的を果たせばよいのであって、雨風を凌いで、自分と自分の荷物を同期して運べば駕籠でも良いと思えるので、もう全然どうでもいいんだけど。そういえば元の夫は当初の目的、というのが口癖だったが、彼にとって妻あるいは女とはなんだったんだろうと思うととても可笑しい。

とにかくこの社長様は、私を気の毒がったり面白がったりなさる。私は毒成分は含むけれども気の毒ではないと思う。愚直アーンドおおまじめだから面白味には欠けるとも思う。

創業社長で、大きな会社なので、一体どうしたら、斯様なレベルになれるのかとおたずねすると、最初の頃は暇で暇で3時にはサウナに行って、しかるのちに毎晩ススキノで飲んでいたとおっしゃる。ただそれだけだと。

なので、かくなる上はやはり飲む練習は必要なのだと合点して、プレミアムビールを1缶買って帰宅。半分飲まないうちに酔う。

ひと缶飲み干せば、とても色っぽくて素敵だ。そして独りで素敵なのは心の底から無念だと思うほどに厚かましい女だ。だーれも読んでないような馬鹿テキストなので、そりゃもぉ言いたい放題は嬉しく、と同時に、私はつい最近「コミュニティ」の存在を知ったりしたので、これはもう双方向無関心空間だと思ふ。これもついでに書いとくと、私は全体重を預けられるよーな、すなわち属魂な関係しか欲しくなくて、友達が要らないので全然OKなんだけど。

それはともかくとして、降りしきる雨ン中、私がベンツから降ろしていただいたのは、地下鉄駅の入り口だった。


なんでやねん。