角度ノート

駄文も積もればログ資産。かもね

風前。

 

開業の日を決めた。いつまでも準備をしていたって、完成することがないからだし、悪魔の子だとしてもここまできたら産む以外にないものだ。
 
ちっとも楽しくないんだ。
 
私は自分の一生の残りほとんど全部を賭けて、だって何でもお持ちの人に喜んでもらうには、もうそれしかないと思ったし、まあ特に喜ぶとまではいかなくても、何の役に立たなくても少しは面白そうなびっくり箱をのぞくようなちょっとしたプレゼント程度には気に入ってもらえるかと思ってたけど、差し出したものが私の人生だったとしても、それはみすぼらしすぎて、ポケットにつっこんだ手を出しもしてくれないから、きっとそれは星に自分の名前をつけるくらいくだらない出来事で、きっと高級で上品なお菓子に飽食している人に、大事にとってあって少し湿って黴の臭いすらするようなかりんとうか何かを差し出した時みたいな嫌な感じを持たれたのかもしれなくて、あるいはすっかり大きくなった虎のこどもをよれよれの猫が可愛がろうとしているようなものかもしれないし、鳩時計が嫌いなひとには、毎日時を告げる鳩の約束なんかうんざりするだけのものだろう。


もう差し上げられるものが何もない。