角度ノート

駄文も積もればログ資産。かもね

大根受難。


前に、包丁の形状が違えば、研ぎ方が違うと書いたかもしれない。研ぎ方が違うというのは刃の付け方が違うことだから切り方も当然違う。
 
特に中国料理の包丁は、かなり大きくて重い四角形の刃先に軽くアールがついているものだ。まな板にトンと付けると、刃先と柄の部分に、まな板とのすきまができる。極端に言うと、板付き蒲鉾の切り口面のような形。
 
使い方を大げさに説明すると、包丁を握った手首を持ちあげて、次に刃先を上げて、水平になったらそのまますとんと落とす。振り上げる形。SLの車輪の連結棒を何となくイメージするような動き。
わずかだけれど、包丁が完全にまな板から離れる瞬間がある。
そこから振りおろすのが、非常に恐ろしい。
 
そんなに極端に振り上げるわけではなく数ミリの話なんだけど、振りおろす時に左手中指の第一関節と第二関節の間の部分、中節っていうらしいけど、そこをそぎ落とすといけないので、左手は中指の第二関節だけが包丁に当たるようにして他の指は撤退する。つまり面でなくて点にすることで、リスクを軽減する。
 
こわい。ひたすらこわくて振りおろせない。切り傷者がちらほら出現した。
 
基本の切り方には、片・絲・末の3種がある。ただし「片(ぺん)」は、包丁を縦ではなくて横に使う。材料側面から刃を入れて刃が上に向かう時に一刀で切る。戻りは切らない。
 
もちろん私は、説明はできるけれど一刀では切れない。ぎこぎこする。
 
変な押さえ方をしたり、あやしい力の入れ方をすると指が切れるので、切れない包丁は本当に危険だ。
 
2時間くらい大根と格闘していると汗が流れる。他の何もかもを忘れる。

 
先生は、反復練習で上手くなると仰った。水泳の時も反復練習あるのみと言われた。車の運転の時も言われた。
 
私は何十年仕事をしてきたんだろうと思う。