角度ノート

駄文も積もればログ資産。かもね

眠りの色。

 
肩が寒くて目を覚ますと、薄暗かったので二度寝した。
 
母が、寝てちゃいけない、と言うんで、お正月くらい寝かせてくれたらいいのに、と私が言って、あまりの眠たさに、寝かせてくれたらいいのに、と2回言うとますます眠く悲しく、しくしく泣き出したら、自分の嗚咽に目が覚めた。母はいなかった。涙を流していた。そんなに眠いんならおとなしくまっすぐに眠っていればよかったんだと思う。
 
あほらしい朝が来た。
ブラインドを上げると、外は白かった。
 
もう二度と口をきいてくれなさそうな人を考えた。
口をきいてくれないんなら、全くもって目を覚ます必要もなかったので、
余計、かあさんを酷い、と思った。
 
白い屋根を見ながら、いまころの銀杏を思った。
 
去年みた見事な銀杏の黄色を思った。
ついこの前見た銀杏は全く色づいてもいなかった。
数年前に札幌で見た銀杏は、黄色い落ち葉が、おろし和えのように、折からの雨雪に交じっていた。
 
銀杏を思い出しながら和んでくれなさそうな人を思うと並木のギンナンのにおいがつんと走ったような気がした。
 
酷い話だ。
眠らせてもくれなければ、色づきもせず。
枯れて落ちたか、散って枯れたか、言いもせず。
 
起きるんなら、眠るんじゃなかったと毒づきながら
冷たい窓ガラスに額をつけていると
 
夜になったのでブラインドを下した。外は白くて暗かった。
 
 
猫盃になみなみ注げ夜の闇。にやにや笑い酔いもせず。