角度ノート

駄文も積もればログ資産。かもね

修正上等。

 

自分の写真のあらかたをシュレッダー処分したのだけれど、ちょいと使いたい用ができて証明写真を撮った。
カラオケと写真が大嫌いだ。写真うつりの悪さといったら凄い。たいていそれを見た人が、良く撮れてるじゃない、とかいうので、泣きそうになる。

そんなわけで、今日はネットで探したフォトスタジオに行ってみた。
「その場で修正」という言葉に惹かれて行った。

先客の年配女性がちょうど撮影し終わっており、修正は要りませんとおっしゃっていたので、とても誠実な人なのだと思った。

私のほうは、「修正しまくったってください」と注文。

ほかのショップでは、せいぜい撮って2枚のところ、ここは8枚近く撮ったと思う。「口角をあげてっ」とか言われて次々撮っていただいた。

モニターに取り込んだ画像から一番いいのを店主と一緒に選び、雑談しながら、店主のほうは、その一枚にどんどん修正を入れていく。まるで、出産後に会話しながら会陰切開を縫合する産婦人科医のごとくであった。

どんどん修正と言ったって、詐欺のように修正するわけもなく、誰が見ても私に見える程度の修正だ。
例えば、自分もそうだけど、緊張するタイプの人間は、なかなか笑顔をつくることができない。そんな場合、フォトショでちょっと口角を上げて笑顔にするくらい、全く問題ないと思う。それはその人の笑顔なんだから、嘘ではないだろう。

2年くらいの間、ずうっと就活していた40代後半の男性が、ここで写真を撮って履歴書を送ったら、一発で内定がでて喜ばれた話をしてくれた。

私も調子に乗ってフォトショは難しいですよね~とか、すご~いとか言っていると、あ、ちょっと髪の毛のストロークが多かったみたい。盛りすぎたみたい。ストップをかけることができなくて、飛んだり跳ねたりしたような髪の毛がすっきりと、しかし高く、昭和レトロな感じになった。

私は服をあまり持ってなくて、母のブラウスを箪笥から引っ張り出して着て行ったので、余計に古臭い女になったけれど、私自身はもっと古いから仕方がない。

そんなにきれいに仕上げてもらったのは初めてなので、嬉しくて嬉しくて「みんなに配って歩きたいです」と申し上げた。もらっても困ると思うけど。

もちろん、自分比なのであって、ほんものの美人のひとに比べたら、まるでふざけた女なので自慢ではありません。

ええ、ええ、法令線も首の皺も肌のくすみも修正しましたとも。それが何か。
フォトショップか何かでピクセルレベルで見た人は分かると思うけど、結構人の顔はきたない。
わ、わたしだけかもしれないけど。
それに、誰に迷惑をかけるわけじゃなし、私が晴々して嬉しくて、私の写真を見た誰かに、不快感を与えるわけでもなかったら、全然無問題だと思う。実物と対面したところで、違和感のあるような修正ではないんだし。なんかちょっと言い訳っぽい。

さらに感心したのは、仕上がり写真4枚を「北海道神宮祈願」とプリントされた絵馬の形の袋に入れてくれたことだ。データは5年以上保存しておられるよう で、データ番号をいただく。この次は1枚からでもOKとのこと。大きくして遺影にしようかなぁと呟くと、遺影は70歳を超えたあたりで写しておくのがベス トタイミングと教えていただいた。

とても良いご商売をなさっていると感心したが、店主は、札幌の同業者がむしろ怠慢であることを嘆いておられた。ドラッカーが、卓越せよと言っているのはこういうことなのだと思った。