角度ノート

駄文も積もればログ資産。かもね

さみだれを。

 

春霞ではなく、PM2.5だった。靄る中を息子宅へ。といっても20分以内に到着する至近距離だ。
湿度は50パーセントで、室温は20.3度であった。丁度良くて幸福のてっぺんに居るような気がした。
 
足元に老猫がそっと絡んできて、息子はなんだかうろうろと立ち歩き、妻ちゃんは羊羹を切っており、私の膝には7キロがうとうとと乗っかっているのだ。百日も経たない命がずっしり重い。
こんな平穏で優しいひとときが私に訪れるなんて。
 
職場で炊飯するとき、3キロ入りの米の袋を2つ抱えるとき、私は重量を思い出して少し嬉しくなるかもしれない。
   
羊羹は美味しかった。
  
妻ちゃんの資産であるところのマンガ本を20冊ばかり借りて荷物は重くなったけれど、ついずんずんと歩いてしまい、歩きながら、ふいに五月雨を集める句を思い出す。
家族の中の誰もが抱えるかもしれない小さな身体や心のかすりきず、些細な困りごとや面倒ごとといったやまいだれのようなものを集めて急流になりたいと願う。