角度ノート

駄文も積もればログ資産。かもね

ゆび。


何年も前、といったって10年も経ってはいないと思うけど、なりゆきで大きな丸い石のついた指輪をはめてみたときは、一緒にいた知人の指を通らなかったのが、するっと入って、どうしようと一瞬まごついたら、なんにもしてない手だ、とお店のマダムがまぜ返し、そう、私は仕事しかしていなかったから、なんだか後ろめたくもなった。
 
かつらむきの練習をしていて、親指の腹を菜切り包丁で撫でた。血が噴き出る寸前まで皮膚を切ったので汚らしい上になんとも具合が悪い。こういう時の煩わしいような邪魔くさいような感じを北海道では、あずましくないと表現するんだけど。
 
おまけに、何にもしないにも関わらず、私は「主婦湿疹」がある。右手の2本だけがもう何年も前から良くなったり、ちょっと悪くなったりを繰り返す。気をつけないと洗剤に負けるのだ。
学校に通うときに一番心配したのは、実はこの湿疹だ。
実習では次々に洗っては拭き、拭いてはしまいを、調理と並行して行うからいちいちゴム手を使うわけにも行かず。
調理が終わると、調理台もシンクも火の回りも全て洗剤を使って磨き、タオルで拭き取って磨きあげる。自分だけがそれを逃れるわけにはいかない。
 
頻繁に水やお湯を使うから、道具のような手になった。
私は爪も伸ばさないし、マニキュアももうしないし、指輪はしたことがないので、全く美しさとは無縁方向に突っ走っている。きれいな白い手に赤い爪と美しい指輪、の人には憧れるけれど、素敵だと思うけれど、何度人生を選び直しても、私はこっちのほうを選んでしまう気がする。
 
それにしても、手指を切るのは、必ず自宅なので余程気が緩んでいるみたい。
きょうは無事だったけど。