角度ノート

駄文も積もればログ資産。かもね

青空

  
アキレス腱から下腿三頭筋、下腿三頭筋から大腿二頭筋を這って大殿筋へと続く盛大な伝線に気がついたことがある。上意下達だったか、成り上がりだったかは分からないが不覚であった。

「かわいそうだな」と後ろにいた男の人たちの会話が耳に入り、誰か近くの人を指している口ぶりだと思ったら、私の足の出来事に対してだった。


冬道で滑ってころんだときは、何とか会社までは腰の痛みに耐えてたどり着いたものの、支障をきたし整形外科に行くはめに。冬に踵の高い靴は、以来こわくて履けなくなった。
後ろからきたカップルのうち、女性は咄嗟に笑った。男性は「かわいそうだろ」と連れを嗜めた。


一方、歯医者の女先生は薬剤効果があらわれないうちに神経を思い切り引き抜いた。
あまりの痛みに体が揺れたが、旧称看護婦さんが私を押さえこんで「動かないでっ」と言う。


女は、違うイキモノだといつも思う。


クッキーを焼こうが焼くまいが、それはヒト型異種生命体だ。
私は、クッキーは焼かないが、やきもちを焼く生命体だ。遠いところから来た。


思う存分転んだ時、冬の青空を見た。


♪まぶしいほど 青い空の真下で (曲 THE BLUE HEARTS)