集中暖房のほかに、たまたま自分の事務所には空調が付いていて、両方を使っても何らの改善効果は見られないうえ、日曜祝祭日には事務所のビルごと集中暖房の方は入らない。
空調を27度にセットするけれど虚しく、家から持参したオイルヒーターを足元に置いても事態は変わらず、もちろんフリース素材のひざ掛け・肩かけを装着しつつ、熱いスープを飲みたかったので、電気ポットのお湯が沸くのを待つ。
そうして勢いよくカップスープにお湯を注げば、まだ水状態。焦るあまりに表示を見間違えた。それを捨てに廊下に出ると、もう外と同じ。その奥にあるトイレに暖房は、ない。
そのかわり希少価値ある和式だし、一重の窓もある。
お湯で手を洗おうとすると、水しかでない。どうやらあれは「給湯室」ではないらしい。
月~金であれば、恥ずかしながら「もらいトイレ」と名付けた所作に及ぶ。
各所リサーチした。
社会保険庁の出先機関があるビルのトイレは、住んでもいいなぁと思う程に暖かく、昼休みのおねいさんが、ゆるゆると歯磨きしたりしている。
ガス会社が入っているビルでは、蛇口はひとつ切りだ。
選択の余地なく、ここは「お湯しか出ない」のだ。
両手にお湯を受けながら、ずっとこうしてこのまま居たいと半ば放心する。
冬は始まったばかりだ。