角度ノート

駄文も積もればログ資産。かもね

パスタったった。

 

寝不足が続いているから、出鱈目を書きなぐろうと思って、呆然ランチを注文すると、ランチセットは南瓜のクリームパスタだったから、虎イエローをくるりと回すと、くるりと巻き付き、ぐるりと回すとぐるりと絡み、虎空腹の胃袋に流し込もうとすると、するりと落ちて、呆然がすとんと腑に落ちていったものだ。
 
金魚のようなお顔のお嬢さんがお二人、スプーンの上でパスタを巻き取っては口に運び、せっせと運んでは会話をし、姿勢をただし、スプーンとフォークで執り行うくるくるの儀式は永遠に続くかと思われた。
 
私はフォーク1本でぐるぐるの迷走に陥り、不器用な永久運動の孤独を彷彿した。
 
ソースが冷めないうちに食べ終えたいのだ。
 
このパスタ世界の解は、永遠にパスタを口に運ぶお嬢さん方と、永遠にパスタをフォークに絡ませられないわたくしと、永遠が分かつ明暗や陰陽では、実は、ない。
 
答えはパスタった。天井に点在する黄色の穴は照明だ。天井の穴から虎色の至福はもたらされ、チーズはパスタに至福をもたらす。このパスタ屋が本当は穴のあいたチーズの中に構築された世界なのだと気づくと、おいおいとしゃくりあげるように飢餓が迸った。
 
外はパスタの雨であった。ソースは冷えた。
 
放置自転車の車輪や明かりの消えた幼稚園の正面入口玄関上の時計の盤面と針の隙間を突き刺して軸が降る。いちじく2軸。9月の夜間に軸の雨。私はもうずうっとずっとフォークを空回りさせていると思ったら、それは時間だったった。
 
雨の軸。雨のパスタは、パスタ屋のチーズでできた屋根を叩き、窓を叩き、はるか上空から黄色の穴めがけて降った。照明だと思ったのは、パスタをはかる穴であって、穴なりに満ち満ちるパスタ軸がある。「わたしを量れ」と黄色の穴に突き刺さる。
 
軸軸と未熟は探している。青い鳥らへんを。どの軸で一つに私のいちのとあなたのいのちは重なるのか。どこを基軸にするとわたくしたちはもうはなれなくて済むのか。
 
強く激しい風を伴い北上する雨のパスタ屋。中二階もある。