角度ノート

駄文も積もればログ資産。かもね

肥沃妄想

 

日常の色というものが少しずつ減色されて、もとの日常と交差するあたりの壁色の空に激突したのは鳥だ。
小鳥が落ちていた。ノイズをとったような緑と青の羽だった。
鳥を拾わずに出勤する病気に罹患しているので、鳥を跨いで会社に行く。
 
テレビやラジオ、オンラインのニュース、掲示板や動画サイトを全開にしていたくせに、何一つ賢くなっていないことに気がついたから、これは「『鳥を拾わずに出勤する』病気」だ。

その代わりに、食欲がわいた。
舌の痺れるような風が吹いても、ぬめって背中にしのびこんでくるような雨が降っても、食欲は亢進した。
以来の空腹。たえまなく空腹。
 
体は、生きようとしていて、隙間と言う隙間にどうやら脂質や炭水化物を詰め込みたくて、五大栄養素に満ち満ちたうえにも際限なく満ち足りたいが、蚕のようにサラダを喰いつくすとバラバラと涙がこぼれる。
大豆製品や青身の魚も、白飯や練り製品も、根菜、果物、畜肉も、和日配、洋日配、米、アルコール。体に詰め込むと、気持ちは揺れてダダもれて、体は貪婪へと隔たっていく。
 
 
それから一切を眠る。
 
 
寝て起きて食欲は亢進を重ね、かくして豊満を超え、はるかに超え、いつしか三桁に届き、人用体重計の針が振り切れ、牛になり、小山になり、のをよこぎり・はたうるおし 呼びかけたいのだ。ホイ。


----
2003年注釈 リアル三桁の話ではありません。それと「おお牧場はみどり」。